きぃくんの 高校生物学講座
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 [ 代謝とATP ]

◎異化・同化

・生体内で起こる物質の複雑な化学反応を代謝といいます。
・代謝に伴うエネルギーの出入りをエネルギー代謝といいます。
・代謝は大きく異化同化に分けることができます。

<異化>
 複雑な物質を簡単な物質に分解するはたらきです。呼吸はこれにあたり、すべての生物は異化を行うことができます。 異化はエネルギーを出す発エネルギー反応であり、 したがってATP合成が進行します。

<同化>
 簡単な物質から複雑な物質を合成するはたらきです。 窒素同化や炭酸同化など、一部の生物しか行えません。 同化はエネルギーを必要とする吸エネルギー反応であり、 したがってATP分解が進行します。


◎独立栄養生物と従属栄養生物

<独立栄養生物>
 炭酸同化により、自らで二酸化炭素から生命活動に必要な有機物を合成できる生物。

<従属栄養生物>
 炭酸同化が行えないため、捕食などにより外から有機物を取り入れ、それを分解することでエネルギーを得る生物。

 ガッツリPoint!
 同化は主に窒素同化と炭酸同化の大きな2つのはたらきがあります。 「炭酸同化=光合成と化学合成」と思われがちですが、光合成や化学合成を行わない生物も炭酸同化を行うことが現在ではわかっています。 しかしながら、外界のエネルギーを利用して無機物(特に二酸化炭素)から有機物を合成できるのは植物や藻類など限られており、 従属栄養生物の代謝の一部で炭酸同化が起こっても直接エネルギーを得られるわけではありません。
 また、独立栄養生物が無機物から有機物を合成する同化を一次の同化、 生物が有機物からタンパク質などの体物質を合成する同化を二次の同化といいます。


◎ATP

 生物はエネルギーが必要になったときのために、呼吸などで得たエネルギーをATPに貯蔵します。 このATPを合成と分解を繰り返すことで、エネルギーの貯蔵・取り出しが行えるため、ATPはエネルギーの通貨と呼ばれています。

<ATPの構造>
題
 ATPはアデノシン三リン酸 Adenosine triphosphate の略称です。 アデニンとリボースが結合したものをアデニンといい、 アデニンにリン酸が一つ結合したものをアデノシン一リン酸AMP)、 リン酸が二つ結合したものをアデノシン二リン酸ADP)といいます。
 リン酸どうしの結合は高エネルギーリン酸結合と呼ばれる多量のエネルギーを含んだ結合です。 酵素のATPアーゼによって分解することでエネルギーを取り出すことができます。
 生体内のATP量は必要なエネルギー量に対して非常に少ないです。 しかし、ATPアーゼに加え、 ATPが合成されるときにATP合成酵素などがはたらくことにより、エネルギーの貯蔵が効率よく行われるため、 生物は生命活動に必要なエネルギーを調達できるのです。
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