きぃくんの 高校生物学講座
  生物学講座目次   トップへ


 [ C3・C4 植物 ]

 植物の中には、空気中の二酸化炭素濃度が低い(二酸化炭素が限定要因)環境でも効率よく光合成を行える植物が存在します。


<C3 植物>

 多くの植物は、気孔から二酸化炭素を吸収し、葉肉細胞で 直接カルビンベンソン回路において炭水化物を合成するとこで固定し、 炭酸同化を行います。
c3


<C4 植物>

 一部の植物は、一連の反応を葉肉細胞維管束鞘細胞で分担して行います。
 気孔より取り込まれた二酸化炭素は、葉肉細胞C4 ジカルボン酸回路において、 いったん炭酸水素イオンにされ、C3 化合物と結合して C4 化合物となります。
 C4 化合物は維管束鞘細胞において、二酸化炭素を放出して C3 化合物となります。 ここで放出された二酸化炭素はカルビンベンソン回路に取り込まれて固定され、炭酸同化が完了します。
c4
 C4 植物は、一般に高い温度強い光の環境下に適しています。

 ガッツリPoint!
 C4 植物は、なぜ高い温度・強い光に適しているのでしょうか。 炭酸同化を行うための二酸化炭素を取り込むには気孔を開かなければなりません。 しかし、気孔では蒸散も行われますから、気孔を開くほど蒸散量も増加します。 高い温度・強い光の下では蒸散量を抑えなければならないため、大きく気孔は開けません。 したがって、取り込める二酸化炭素量も限られてしまいます。 普通の植物は、この時点で呼吸による二酸化炭素放出量が光合成による二酸化炭素吸収量を上回り、成長できなくなります。 ところが、二酸化炭素の補償点の低い C4 植物は、低二酸化炭素濃度でも正常に炭酸同化を行うことができるため、 気孔をあまり開けない厳しい環境下でも成長できるのです。



◎CAM植物

しくみを工夫して炭素固定をするC4植物の他に、ベンケイソウ科やサボテン科など気孔の開閉を工夫するCAM植物というものがいます。

[夜]
 気孔を開いて二酸化炭素を固定。リンゴ酸を合成し液胞に蓄えます。
[昼]
 気孔を閉じて、リンゴ酸の脱炭酸反応により二酸化炭素を得ます。
[夕方]
 昼にリンゴ酸を使うため、日没が近づくころに気孔を開き、カルビン・ベンソン回路により二酸化炭素を固定します。

◎光合成産物
 光合成でつくられたグルコースはデンプンとなって蓄えられます。 このデンプンは同化デンプンとよばれます。 また、葉でつくられたり、根から吸収された養分は他の組織に運搬されます(転流)。 転流により種子などに運ばれた養分によりつくられたデンプンを貯蔵デンプンとよびます。
inserted by FC2 system